そして、クラスマッチの日。

みんな、ちょっと緊張しながらも、楽しみといった感じ。

大縄飛びへの熱はまだ続いているようで、頑張ろうって盛り上がっている。


体育委員の二人が縄を持って、他のみんなが一列に並ぶ。


全部のクラスが準備出来たのを見て、先生が笛を鳴らした。


縄が回り始め、一人目から飛んで行く。


「いち! に!」

と、みんなが数えて増えていく数字を自分が止めちゃうかもって思うと怖いけど、横山くんが飛べるって言ってくれたから大丈夫!


順調に進んでいき、私の番。

前の立間さんに続いて、練習した時の事を思い出しながら飛ぶ!


よし、とりあえず最初の一回目はオッケー。


回っている縄に途中引っかかっちゃった子も居るけど、止まりまくってはいない。

だいぶ順調に、数が増えていく。


「235! 236!」


237! 

心の中で声を出しながら飛ぼうとして引っかかってしまう。


やば、良い感じだったのに。

恥ずかしい。


引っかかってしまった縄から抜けると、また縄が回り始め、何事もなかったかのように次の子から始まる。


「237! 238!」


次こそは、ちゃんと飛ばなきゃ。

なんて、焦ってたから


「271! 272! にひゃくななじゅう……」


273回目、また、引っかかってしまう。


どうしよう、二回連続だ。

しかも、さっき私が引っかかってから、誰も引っかかってなかったのに。


また、引っかかっちゃうかも……。


ドクドクしている心臓を押さえながら、立間さんの後ろに並ぼうと、私より前に飛ぶ人達の列の横を通った時、誰かが私の腕を掴む。


え?


顔を上げると、横山くんが居た。


「落ち着いて、深呼吸しな。大丈夫だから」


横山くんの力強い言葉の言うとおり、上げていた顔を下げて、息を吸って、吐く。


ドクドクうるさく鳴っていた心臓が落ち着いた。


もう一回顔を上げて、横山くんを見ると、彼は優しく微笑んで頷いたあと、手を離される。


今、心にあるのは、とくん、とくんと、心地よく鳴っている胸のときめきだけだった。


焦る気持ちが無くなったからか、次の私の番の時、失敗せず飛ぶ事ができた。