君の素顔に恋をした


手を繋ぎながらの、縄跳び練習に効果は有ったのか、手を繋ぎながらだと、前より引っかかる回数が少なくなっている。

ゆっくりだった縄のスピードを上げてみても、みんな飛べている。


なので、「みんな飛べてるし、休憩終わったら、手を繋がないでやってみようか」と、なるのも当然なんだけど、繋がれていた手が離れるのが惜しい。


思わず、繋いでいた手に力が入る。

それに気づいた横山くんは、少し驚いた様にこちらを見る。


あ、やばい。

離したくないの分かっちゃったかな。

変に思われちゃったかな。


言葉は出なくても、内心凄く焦ってる私の手を、横山くんが、さっきより強めにぎゅっと握った。


え、


横山くんは、私の目をまっすぐ見た。


「大丈夫、飯田さんなら飛べる」


今まで無かった手の動きを不安と捉えたのか、勇気づけてくれる。


「失敗したって良いんだし、気負わず、気楽にな」


最後に、もう一度手を強めに握ると、横山くんは、ゆっくりと手を離した。


「うん。がんばる」


アドバイスをくれたのは嬉しかったけど、やっぱり少し寂しくて、繋がれていた右手を左手でぎゅっと握りしめる。


「だから、気負いすぎなんだよ」


横山くんは、ははっと笑った。