クラスが一緒にならなかった。
委員会が一緒にならなかった。
部活が一緒にならなかった。
帰る方向が違った。
彼の友達とも関わることがなかった。
分散登校があった。
人と集まらないように言われていた。
言い訳ならいっぱいできるけど、本当はただ、私が彼に話しかける勇気がなかった。
だから、三年間もあったのに、彼は私のことを、顔も、名前も、何にも知らない。
卒業間近になっても、相変わらず好きでも、彼が行く高校は知らない。
知ったら、一緒のところ行きたくなっちゃうだろうから。
……嘘、本当は、彼と話した事が無いから、彼と仲良い友達が居ないから、知らないだけ。
でも、彼のことだからきっと、バスケ部が強い学校に行くんだと思う。
バスケ部の練習を頑張っているのをよく見たもん。
それに、彼がいつも一緒にいる友達が、バスケ部の強い学校に行くって大きな声で言っているのが聞こえた。
だから、たぶん、彼もそうするんだろうな。
私が進学する岩花高校にもバスケ部は有るみたいだけど、決して強くはない。
だから、一緒になることはない。
高校生になったら、話すこともできなかった彼のことを忘れて、ダメだった恋を反省して、素敵な恋をしよう。
そんな決意をしてた。



