大縄を回すのは、体育委員である二人。

女子が桜木さんで、男子は私の隣の席の、市川くんだ。


私もあっちが良かったけど、回すのも難しいんだっけ?


回されている縄に一人ずつ入って、8の字に飛んで行き、五分間で何回で飛べるか競うらしい。

連続じゃ無いから失敗しても問題は少ないけど、引っかかったらその分だけタイムロスだから、引っかからない方が良いに決まっている。

順番とかは自由で良いらしく、私は立間さんの後ろに並んだ。


「立間さんは、大縄得意?」

「どうだろ? 苦手ではないよー」


タン、タンと、体育委員が縄を回し始め、男子の一番運動神経良さそうな人から飛び始める。

私がいるのは、十五番目くらい。


あー、緊張してきた。

失敗しちゃったら、どうしよう。

確か、怖がって一回待つよりも、そのまま連続で飛んだ方が飛びやすいんだっけ?


みんなそれが分かっているのか、早すぎることも遅すぎることもなく回る縄に、次々と飛んで行き、あっという間に立間さんの番。

立間さんも、前の子と感覚を開けずに、前の子が飛んだ瞬間には縄に入っていく。


――タン


縄が落ちて、立間さん飛ぶ、今だ!

出て行く立間さんに続いて縄に入り、ジャンプ!

そのまま駆け足で抜ける。


良かったぁ、飛べた。


ほっと一息つきながら立間さんの後ろに並ぶと、タン、タンと、連続して鳴っていた音がとまる。

大縄の方を見ると、私より二人後に居た子が引っかかっちゃっている。

その子は、恥ずかしそうに、下を向いて飛び終わった子の列に並ぶ。


分かる、恥ずかしいよね。

大縄飛びって、これが嫌なんだよなぁ。