横山くんが走っている。
陸上部とかサッカー部に交じって、先頭グループで。
綺麗なフォームで、一定のペースで彼は、走っている。
彼のサラサラの黒髪がなびいているのを、私は座ってみていた。
今は、体育の授業中。
種目は、マラソン。
女子が五週で男子は十週。
私がゴールした時点で、一回か二回抜かされていたから、横山くんは、今、最後の一週かな。
凄いなぁ。
私、その半分でヘトヘトになっているのに、遠目から見ても息を切らしている様子は無い。
そして、そのまま余裕のゴール。
疲れて座り込む事も無く、日陰に向かい、置いていた自分のペットボトルの水を飲もうとするから、私は慌てて目を逸らす。
さっきまで、ずーっと見てた癖にって思うかも知れない。
だけど、だって、なんか恥ずかしいんだもん。
口を見るのが慣れないって言うのかな、これは。



