「飯田さん」
呼びかけられて振り向くと、横山くんも立ち上がって私を見ていた。
「俺、飯田さんと喋っていて楽しかったから、飯田さんも俺と喋っていて楽しいって思ってくれるなら良かった。じゃあ、また明日」
そして彼は、ニコリと笑って、手を振る。
私も手を振って、バスに乗る。
「うん、また明日」
バスに乗るとまだ空いていたので、一人掛けの座席に着く。
彼が、バス停を離れていくのを見て、私は膝の上に置いていたカバンを抱きしめる。
横山くん、笑ってくれた。
私に向かって、あんなにも笑ってくれるんだ。
「また明日」って言ってくれた。
私達には明日が有るって事なんだよね。
どっちも、すごくすごく嬉しい。
一日で、こんなに変わるなんて。
忘れようと思った恋は、一日で大事なものになった。
今日は、知らなかった横山くんをいっぱい知れた。
明日も知れるかな。
ううん、知るために頑張らなきゃ。



