目が合っている横山くんから目を逸らそうとして、改めて彼との近さに気づく。
癖の無いさらさらとした髪の流れも、思ったよりもガッシリとしている手の形もよく見える。
……男の子の手だ!
何故か、テンションが上がる。
駄目だ。黙ったままだと、ずっと見てちゃう。
変に思われたくなくて、話を振る。
ごちゃごちゃしないように頭の中で言葉を完成させてから、小さな声にならないように気を付けて。
目を見るのは恥ずかしいけど、そっぽを見ないで。
「横山くん、よく私の事、知ってたね。話した事……無かったよね?」
本当は話した事無いって断言できるのに、あえて誤魔化した言い方をしちゃう。
「そうだなー。たぶん話した事、無かった気がする」
こんな風に、もしかしたら話した事あったかもって思われたくて。
ずるいな、私。
「でも、飯田さんの事を知ってたのは」
そこまで言うと、横山くんは口元に手を当て、ちょっと恥ずかしそうにした。
「俺さ、中学の時、学年の全員と友達になりたかったんだ」
「それは……難しくなかった?」
只でさえ、うちの中学には、六クラス有って、一学年二百人ちょっと居るのに。
ご時世的に、もっと厳しかったはずだ。
「まぁな。でも、だからやりたかった。難しい程、燃えるじゃん」
横山くんは、少年の様な熱い意思の目で、不適に笑い、力強く良いきって、私をドキリとさせる。
かと思えば、その熱を引かして、自傷するように笑って話す。
「まぁ、結果全員と友達になるどころか、話せてない子も多いけど。だからこそ今、飯田さんと話せて嬉しいんだ」
私も嬉しいよ!
その気持ちはあるけど、恥ずかしくて言えない。



