君の素顔に恋をした


「え?」


その声は、自己紹介の時、歌った時、聞き逃さない様にしていたきらめく星の様な明るい声。

もしかしてと、横山くんを見ると、彼は私を見ていた。


「飯田さんって、同じ中学だよな。三禄中」


私の、名前を呼んでいる。


二つの事実に、体が熱くなって、のぼせそう。


ああ、黙ってちゃ駄目だ。

三年前から横山くんの事を知っていたのに、話すの初めてで、凄く緊張するけど、頑張って声を絞り出す。


「う、うん。そう、だけど……」


なんで知っているんだろう。

今まで一回も話した事無かったのに。

生徒会とか役職をやっていたわけじゃないし、目立つような人でもないのに。


合っていたことに、横山くんは安心したように笑う。


「やっぱり、そうだよな。可愛くなった」


え……今、可愛いって言った?


……かわ、いい?


横山くんが放った言葉を反芻しながら、ただただ、彼を見つめる。

結果として黙っている状態の私に、横山くんは慌てて弁解し始める。


「あ、いや、前は可愛くなかったとかじゃねぇよ。ただ、今の方が顔がよく見えて、良いなって思って」

「そう……なんだ」


可愛い、可愛いか。


横山くんの前でニヤニヤしたくないのに、頬が緩んでしまうのが止められない。


だって、嬉しいんだもん。

好きな人に可愛いって言われて。


「似合っているか自信なかったから、可愛くなれてるなら良かった」


喋るたび、笑みがこぼれる。


恥ずかしいけど、その何十倍も嬉しいんだ。


横山くんは、私を見た。

沈みかけの夕日が差し込み、紅茶のような色になった目で私を見ていた。


「うん、似合ってる」


そして、もう一回言ってくれる。

今度は可愛いって言葉は無かったけど、私は可愛いって意味も含まれているのも知って居るから、ちょっと恥ずかしいけど、やっぱり嬉しくてたまらない。


彼の一言は、私にとって何よりも自信になる。ああ、イメチェンして良かったな。