でも、お裁縫苦手って立間さんが言ったのは、ちょっと意外かも。
イメージだけど、立間さんはお裁縫とか、得意そうに見える。
ポニーテールを結ぶリボンも細やかなレースで、手作りっぽいし。
「あ、その表情、私がお裁縫苦手なの意外って思ったでしょ」
気づかれた!
立間さんは、ジッとした目で私を見る。
……もしかして、そう言われるの嫌だったりするのかな。
嫌なことを言っちゃってたら、どうしよう。
心配で胸が苦しくなった時、立間さんは笑った。
「よく言われるー。可愛い物は、好きなんだけどね」
気にしてなさそうでよかった。
胸の苦しみが治まる。
「これも、去年ここの文化祭で買ったんだよ」
立間さんは、リボンを指さす。
そういえば、去年文化祭見に来たとき、似たようなリボンが家庭科部の所で売ってたっけ。
「ここの家庭科部、凄いよね、こんな細かなの作れて。飯田さんも家庭科部入るの? あっ、でも、飯田さんは美術部入りたいんだっけ」
えっ。
「私が美術部って言ったのよく憶えているね」
自己紹介の時に言ってはいたけど、驚いた。
立間さんは、「えへへ」と、笑う。
「みんなと仲良くなりたいから。みんなの自己紹介を出来るだけ覚えるようにしているんだ」
すごい。私もそのくらい頑張れば良かったな。
横山くん以外、名前覚えるだけで、精一杯だった。
「で、そうそう、飯田さん美術部なんだ。家庭科部じゃ無くて」
「うん、悩んだけど、中学から美術部で、絵を描くのも好きだから」
掛け持ちできたら一番良かったかも知れないけど、できないみたいだし。
料理とかお裁縫はお母さんが教えてくれるから、美術部入ることに決めた。
「飯田さん、好きなこといっぱいなんだね」
「それってすごっく素敵」って、立間さんが笑う。
立間さんのポジティブな言葉には、こちらまで気持ちが明るくなって、自然と笑みがこぼれる。
「うん、そうなの」
「しかも、お裁縫は、超上手! 絵も上手なんだろうなぁ」
「そんなにハードル上げないで、普通だよ」
それにしても……。
スクールバックにぶら下がるうさぎを触る。
確かに上手に出来たけど、こんなに褒めてくれるなんて。
手芸って、私の自慢出来ることなのかも。
立間さんのおかげで自分のことが、少し分かったな。



