君の素顔に恋をした


体育館での入学式が何事も無く終わった後、クラスで自己紹介の時間が始まった。


こういうの、苦手。

前に行って挨拶するのも緊張するけど、自分の席で立つ奴だとどこ見て話せば良いのか分からない。
それに、何話せば良いのか分かんなくて、素っ気ない感じになっちゃう。


「飯田美羽です。美術部に入りたいと思ってます。よろしくお願いします」


ほら、今回もそうなっちゃった。


前の人を参考にしたけど、私だけなんか冷たい感じな気がする。


注目されて居るのが苦手で、言ってすぐ席に着いちゃったからダメなのかな。

それとも緊張して笑えなかったから? 

淡々と喋っちゃったから?


自分のダメなところがいっぱい思い浮かぶ。


やっぱり、自己紹介って苦手だ。



落ち込みながら他の人の自己紹介を聞いているけど、横山くんの番が近づくにつれて、落ち込むよりもドキドキしてくる。


どんな声なんだろう。

どんな風に喋るんだろう。


彼の声をちゃんとは聞いたことはないから、ドキドキがヤバい。
聞き逃さない様にしないと。


彼の番が来て、立ち上がる。

緊張してはいなさそうで、雰囲気は何というか爽やか。


「横山和馬。勉強苦手なんで教えてくれたら嬉しいです。部活は悩み中。よろしくおねがいしまーす」


自己紹介の最後に彼は笑う。

それに、ドキンと心臓が跳ねる。
 

声もしゃべり方も想像とは違った。

冷たい雪のようなしんとした感じだと思っていたけど、きらめく星の様な明るさだった。

しゃべり方や表情で、明るい人なんだって思った。

勉強は、苦手。

部活はバスケ部に決めてないんだ。



――全然、知らないなぁ。