君の素顔に恋をした


「初めまして。俺、市川友晴っていいます」


横山くんの方を見ないようにしながら自分の席に着くと、隣の席には男子がもう居て、笑顔で挨拶してくれる。

スポーツマン男子って見た目で、座っていても分るくらい身長高いけど、表情もしゃべり方も優しい。


「初めまして。私は、飯田美羽です」


緊張で、最初の方が小さな声になっちゃったけど、なんとか言い切れた。


「飯田さん、緊張してる?」

「うん。緊張してる」


昔から、人と話すのは苦手で、直したいとは思っているけど、その場面が来ると、緊張しちゃう。

市川くん、話し方は気さくだけど、スポーツマンぽいし、明るい感じだから、話合わなそうだし……。


でも、高校生になったら頑張ろうって決めてたんだ。

横山くんとも話してみたいし、頑張らなきゃ。


市川くんには悪いけど、話す練習として話してみよう。


「市川くんは、緊張してないの?」

「うん。俺の通ってた中学ここの近くだから、同じ中学の奴が結構いるんだ。飯田さんは、同じ中学の人いない?」


同じ中学と言われて、横山くんが思い浮かぶ。

他にも居るかもしれないけど、名前では彼しか分からなかった。


「一応いるけど、話したことない人で……。仲の良い友達は別のクラスなの」

「そうなんだ。話した事無いなら、顔は知ってても緊張するよね」


運動部の男の子! って雰囲気と違って、市川くんの話し方はとても優しい。


「市川くんの同じ中学の人は、話した事ある人なの?」

「俺の通ってた中学、クラス二つだけなんだ。しかも、小学校も同じ奴が結構居たから、全員と話したこと有るんだよ」


良いな。
うちの学校も二クラスだったら、横山くんと同じクラスになれたかも。


「二クラスなんだ、少ないね。私のとこ、六クラスあったよ」

「六!? それは、話したことない人いて当然だ。……六クラスも有るなんてここら辺の学校じゃないよね?」


市川くんは、聞いたことないと、口にする。


「そうだね。ちょっと遠いかな」

「飯田さんは、なんで、ここの学校にしたの?」


ちゃんと話を聞いて、どんどん話題広げてくれて、市川くんって、すごく話しやすい人だな。

最初は見た目がスポーツマンって感じで緊張したけど、隣の席、市川くんで良かった。


「学校選ぶ時に、ここの文化祭に来てみたんだけど、美術部の作品が凄かったのと、美術部の体験コーナーでの先輩達が優しくて、楽しそうだったから」

「じゃあ、飯田さんは美術部入るって決めてるの?」

「うん美術部の予定。市川くんは、部活決まってる?」

「決めてるよ。中学からやってたバスケ部」


バスケ部! ……横山くんも入るのかな?


中学の時、遠くからだけど、横山くんが部活しているのを見たことある。

ちょうど、シュートを決めているタイミングで、かっこよかったなぁ。


思い出したら、横山くんのことを見たくなるけど、席は対角線上に離れているから、不自然な気がして何もできない。


うー、もどかしい。