進路を決めるのはまだまだ先のことだと思っていたけど、もう受験生なんだ。
でもまだ実感がないし、これからの自分の人生を、そんな簡単になんて決められない。
突然突きつけられた現実に、朝から憂鬱な気分になってしまった。
* * *
「ただいま~」
家に帰ると、わたしはいつものように和室へ向かう。
優しい笑顔を浮かべている写真のお父さんにも「ただいま」と声をかけて、お線香をあげる。
お父さんは、わたしが10歳の時に病気で亡くなった。
家族思いで優しかったお父さん。
どんなに仕事が忙しくても、週末には必ずわたしと一緒に遊んでくれた。
亡くなった時はすごく辛くて、悲しくて、毎日お母さんとふたりで泣いてばかりいた。
あれから5年が経って今はお父さんがいない生活にもだいぶ慣れたけど、時々ふっと何気ない思い出が甦って切なくなる。
お父さんなら、進路を相談したらなんて答えてくれたのかな。
写真を見ながら、ふとそんなことを思った。


