「すみません、ちょっとちーちゃんとふたりで話させてください」
五十嵐先輩をまっすぐ見据えてそう言うと、ちーちゃんの腕を掴んだまま体育館裏の方へ早足で歩き出した。
下校時刻になって、体育館にはもう誰もいない。
ちーちゃんとふたりきりの、静かな空間。
「ちーちゃん、さっきの人とつきあうの?」
「え?」
「あの人にちーちゃんのこと渡したくない」
「……晴くん?」
ちーちゃんが戸惑ったような表情を浮かべた。
言葉にしなくても、ずっと一緒に過ごしてきたから僕の気持ちは伝わってると思ってた。
いつか気づいてくれるって思ってた。
でもそれは僕の勝手な思い込みで、やっぱり言葉にして伝えないとダメなんだ。


