「小学生の頃に父親が病気で亡くなって、母親とふたりだから、わたしもお母さんを支えられるようにしっかりしなくちゃいけない」と、いつだったか、笑いながら言っていた。
でもその笑顔の裏に本当は寂しさを隠しているような気がして、俺にできることがあったら力になりたいって、そう思ったんだ。
そして気づいたら雨沢のことを好きになっていた。
だけど、あいつは俺の気持ちなんてきっと気づいてない。
雨沢は、頭はいいのに恋愛感情にはとことん鈍感だ。
幼なじみである日向の気持ちだって、小さい頃からずっと一緒にいるはずなのに気づいてない。
俺と雨沢が一緒にいるところにわざと声をかけたりして、あからさまに態度で示しているのに。
雨沢は、日向のことを“ただの幼なじみで弟みたいな存在”だと言い続けている。
だけど、本当は気づいてないだけで、雨沢にとって日向は特別な存在なんだと思う。
日向が本気で雨沢に告白したら、きっとあのふたりの関係は変わるだろう。


