幽霊学級

話をふると和彰は少し目を見開き、それから小さく頷いた。
「和彰?」
幸雄が困惑した表情を浮かべる。
「郁哉、俺に話をふらなくてもいい」
「え? でも」
一緒にいるのに和彰のことだけ無視しているなんて、どう考えてもおかしい。
さっきからふたりは視線も合わさないし、会話もしていない。
友達同士に距離があるのは、僕としてもあまり気持ちいいものじゃなかった。
「そうだな。和彰のために、僕はもっと強くならないとな」
ふと、幸雄が空を見上げてそうつぶやいた。
その言葉を聞いて和彰は大きく息を吸い込み、そして泣きそうな顔で笑ったのだった。
「頑張れ、幸雄」
背中を押す和彰の声が夏の空に吸い込まれて、消えた。

☆☆☆

「ちょっと郁哉、その怪我どうしたの!?」
帰宅した僕を見て母親は大絶叫だった。