放課後になり家に帰るのがもったいないと感じたのは久しぶりのことだった。
このままずっと学校で、4人でおしゃべりしていたい。
そんな気持ちを振り切って僕は3人に手を振って教室を出たのだった。

☆☆☆

「学校はどうだった?」
夕飯の席で父親が少し心配そうな顔を浮かべて聞いてきた。
僕は転校のたびに、この顔を見ている気がする。
「うん。面白い3人組に会ったよ」
今日の出来事をかいつまんで説明すると、父親と母親の表情が柔らかくなるのがわかった。
「そっか、いい友達ができそうで良かったな」
「うん」
「だけど残念ね。もう少し早く転校できれば春のバス遠足にだって参加できたのに」
母親が残念そうな顔つきで言う。
そのほうが早くクラスに溶け込むことができると思っていたみたいだ。
「仕方ないよ、仕事の都合なんだし」
と、僕が言うと、両親は顔を見合わせて笑い声をあげた。