どうして淳がそんなに起こっているのか覚えのない僕はただその場に立ち尽くす。
「気にする必要ないさ」
僕の肩をポンッと叩いたのは和彰だった。
和彰は困ったように苦笑いを浮かべている。
「そうそう気にする必要ねぇよ。あいつ、いつもあんな感じだしなぁ」
「うんうん」
功介と誠も同意している。
「そ、そうなんだ? 僕がなにか怒らせるようなことをしたんじゃなくて?」
「郁哉は転校してきたばかりでまだクラスメートの名前だって覚えてないだろ。あいつは虫の居所が悪かっただけだ。さ、気にせず次に行こう」
和彰に手を引かれて、僕はまた歩き出したのだった。

☆☆☆

一通りの学校案内が終わったあとも、3人は僕のことを気にして休憩時間のたびに声をかけてくれた。
おとなしい誠と少し乱暴な功介を、利発な和彰がまとめて引っ張っていっているように見える。
「じゃあまた、明日な!」