【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。



 俺がそう言ったら繁原は「なんか違和感があるが。……まあ、いいか」と再びパソコンに視線を落とす。

「繁原も俺になんか相談があるなら乗るぞ」

「絶対にしないから、安心しろ」

 おいおい、即答かよ……。まあいいか。

「俺、接見に行ってくるわ」

「あの例の轢き逃げの犯人か?」

「ああ。今になって急に、供述を変えたらしい」

「そうか。……気を付けてな」

 繁原が接見のために事務所を出ると、俺も次の案件に取り掛かった。

 
✱ ✱ ✱


「三国、今日はもう終わりか?」

「ああ、ちょうど片付いたところだ」

 担当していた案件が落ち着いたところで、俺も帰宅することにした。

「どうだった? あの轢き逃げの犯人」

「見事に供述を変えやがった。 今になって、自白した」

「自白? ウソだろ?」

 数日前まで自分はやっていないと言っていたのに、急に供述を変えてる。

「どういうことだよ?」

「俺にもよくわからない。……一体、どういうことだろうな」

 ヤツが確かに轢き逃げ事件を起こしたことには、間違いはない。
 しかし逮捕されてしばらく容疑を否認していた。自分ではないと、あれだけ言い張っていたのにだ。

「ヤツはとにかく、早く起訴してくれの一点張りなんだよ。 俺がやったんだからそれでいいだろ、と俺にも怒鳴りつけてきたくらいだしな」

「……なんか、急にそんな態度はおかしいよな」

 と呟くと、繁原も「ああ、明らかにおかしいと俺も思う」と呟いてソファに座る。

「ヤツは、まだ何かを隠している気がする」