繁原の好きな人は気になるが、そっとしておくか。
「誕生日プレゼント、何にするかな……」
俺がそう呟くと、繁原は「婚約指輪でもあげたらどうだ?」と隣から言ってくる。
「婚約指輪……?」
「彼女、お前からのプロポーズ、そろそろ待ってたりしてな」
「プロポーズ……か」
そういえばこの前父さんに絵梨紗を紹介した時にも「まだプロポーズしていないのか?」と言われてしまったな。
確かにいつかはと思ってはいたが……今がもしかして、そのタイミングだったりするのか?
「誕生日プレゼントに婚約指輪なんてプレゼントしたら、彼女泣いて喜ぶかもな」
「……確かにな」
やっぱりいい誕生日にしたいというものあるし、そういう手も……ありだよな。
「ま、俺が三国の彼女だったら、指輪とかもらっちゃったら嬉しいなと思ったけどね」
「お前、なかなか良いこと言うな」
「そうか? そりゃどうも」
確かに絵梨紗のことは愛しているし、これからだってずっと絵梨紗のそばにいたい。
それにいつかは、絵梨紗との子供だってほしい。
「結婚のタイミングで難しいなって思ってたけど、タイミングで自分で作るものなんだよな」
「はっ? 何言ってんだ、お前」
俺は繁原に「繁原、お前なんだかんだとイイヤツだな」伝えると、繁原は「なんだよ。気持ち悪いこと言うな」とパソコンの画面に視線を落とす。
「やっぱり持つべきものは、恋愛下手な同僚だな」
「……それは褒めてるのか?」
「褒めてる、褒めてる。 ありがとうな、同僚よ」



