俺もコーヒーを飲みながら「お前は恋愛に向かない男なんだな」と呟く。
「そうだな。 恋愛する暇あったら、少しでも弁護士として名を馳せたいかな」
「なるほどねえ」
俺はパソコンとにらめっこしながらコーヒーを飲む。
「ん、なんか今日のコーヒー美味いな」
「あー、なんかコーヒー豆変えたみたいだな」
「へえ。美味いな」
どこのコーヒー豆なんだろうかと気になったが、仕事に集中することにした。
「なあ、三国?」
「ん?」
繁原は俺に「彼女のこと、大事にしてるんだな」と言ってきたから、「なんだよ、急に」と返した。
「いや。……俺はまともな恋愛なんて出来なかったけど、お前みたいにちゃんと誰かを一途に愛せる人だったら良かったのになって思ってさ」
なんだ、その意味深な言葉は……?
「もしかして、好きな人でもいるのか?」
「……別に」
この言い方は、好きな人がいる言い方だな。 俺の感がそう言っている。
「誰だよ、お前の好きな人」
「はあ?……いねえし、そんな人」
俺は繁原に「素直じゃないね、繁原」と呟くと、繁原は「うるせえよ」とパソコンの画面に視線を向ける。
「俺が話聞いてやろうか?」
「はっ? 別にいいし。……つーか、頼まれてもお前には相談しないからな」
「ふーん……?」
繁原のその照れたような顔、多分これは気になる人がいるってことだな。
気になるが教えてくれそうな雰囲気ではないな。
「まあ、頑張れよ繁原。応援してやるからさ」
「余計なお世話だ」



