【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。

✱ ✱ ✱



「なあ、繁原?」

「ん? どうしかしたか?」

 俺は同僚の繁原に「彼女への誕生日プレゼントって、何を選んだらいいと思う?」と問いかけてみる。

「はっ? なんだよ、いきなり」

 繁原が困ったような顔を見せる。

「いや、彼女がもうすぐ誕生日なんだよ。 それでさ、誕生日プレゼントなんか用意したいんだけど、何がいいかなって思ってさ」

 俺の隣で繁原は「へえ? もうすぐ誕生日なんだ、例の彼女」とニヤニヤしている。

「……なんだよ、気持ち悪いな」

 なぜそんなにニヤニヤするんだ……。

「で、彼女は何が欲しいって言ってるんだよ?」

「それがさ、俺に選んでほしいって言われてさ」

 繁原はコーヒーをマグカップに注ぎ始めると「なるほどねえ。試されてるってことか」とマグカップを手に俺の元へ歩み寄る。

「試されてる?」

「お前の選ぶプレゼントがセンスあるかどうかをきっと試してるんじゃないと思ってたんだけど、違うのか?」

 繁原にそう言われた俺は「絵梨紗はそんな人じゃないから」と言い返すけど、「どうかなあ? 女はわかんないものだよ?」とコーヒーを口にする。

「お前は女性に対して、どんな偏見を持ってるんだ?」

「だって女なんてめんどくさいだろ?」

「そんなことはないけどな。 絵梨紗はめんどくさくなんてない」

 繁原に相談をしようとした俺が間違っていたような気がする。

「ま、俺は今彼女なんていらないからな」

「結婚願望もないってか?」

「ないね。 俺は結婚なんてものに縛られたくない」