祥太くんはお茶を流し込むと、「いやー仕事忙しいとさ、つい食べるの忘れちゃうんだよな」と口にする。
「ちゃんと食べないと、身体持たないよ?」
「大丈夫、大丈夫。 絵梨紗の作ってくれたこの唐揚げ食べたからもう一週間は頑張れる」
「ええ、本当に?」
私、すごく心配なんだけど……。
「祥太くん。お願いだから、無理だけはしないでね」
「わかってるよ」
祥太くんは昔から頑張り屋さんだから、無理してるのではないかと不安になる。
「絵梨紗が俺の隣にいてさえくれれば、俺はいつでも頑張れるんだ」
「そう言ってもらえるのは、嬉しいんだけどね」
祥太くんは唐揚げを食べながら「絵梨紗の手料理をこうやって食べれるという幸せがあるだけで、俺は生きてて良かったと思えるな」と微笑んでいる。
「もう、都合いいんだから」
「そんなことないよ。 俺は本気で、そう思ってる」
祥太くんは「いつもありがとう、絵梨紗」と私の頭を撫でる。
「うん、こちらこそ」
祥太くんが弁護士という職業柄、忙しいのは仕方ないのかもしれないけど、祥太くんが無理をせずに頑張ってくれることが私にとっても嬉しいことだ。
「お味噌汁のおかわり、あるよ」
「じゃあもらおうかな」
「はい」
祥太くんからお椀を受け取り、お味噌汁のおかわりをよそう。
「はい、どうぞ」
「お、ありがとう」
祥太くんは「やっぱり唐揚げとか味噌汁を食べると、落ち着くよな」と言っていた。
「え? 落ち着くかな?」
「落ち着かない?」



