【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。



「父さん……」

「祥太、絵梨沙さんのこと、必ず幸せにしてやりなさい」

 お父さんから視線を向けられた祥太くんは、驚きながらも「ああ、わかってる。……必ず、彼女を幸せにすると約束するよ」と私の手を握ってくれた。

「祥太……くん」

 握られたその手は暖かくて、優しかった。

「絵梨沙さん」

「は、はい」

「こんな息子ですけど、絵梨沙さんのこと本当に大切みたいです。……なのでこれからも息子のこと、何卒よろしくお願いします」

 私はお父さんから頭を下げられたので、「あ、あの、お顔を上げてください! こちらこそ……ふつつか者ではありますが、精一杯、祥太さんを支えられるように頑張りますので」と言葉を伝えた。

「祥太は私のたった一人の大切な息子です。 絵梨沙さんになら、息子のことを安心して任せられます」

「いえ、そんな……」

 私はそんなに大それた人間じゃない。普通の平凡な人間だ。
 だけどこんな私にも、守りたいと思う存在が出来た。 それは祥太くんだ。
 だから私は、祥太くんのこと頑張って支えたいし、守れる存在になりたい。
 
「父さん……ありがとう」

「ちゃんと結婚する時は、婚姻届を持ってきなさい。 私が証人になってやろう」

「おい、父さん! 気が早いって……」

 祥太くんがそう言うと、お父さんは「そうか?」と微笑んでいたけど、お父さんもきっと祥太くんが幸せで嬉しいんだと思う。
 たった一人の大切な息子が幸せになるんだから、嬉しくない訳がないしね。

「絵梨沙さん」

「はい」