「そうだな。 お前にはもったいないくらいの人だな」
「確かにな」
祥太くんの隣で紅茶を飲んでいると、祥太くんのお父さんが「絵梨沙さん、こんなバカ息子だけど、これからもよろしく頼みます」と言われたので、私は紅茶のカップを置いて「こ、こちらこそ……よろしくお願いします」と頭を下げた。
「絵梨沙さんに、聞いてもいいかな?」
「はい。なんでしょうか?」
今から何を聞かれるのかと緊張していると、祥太くんのお父さんから「祥太から絵梨沙さんの話は聞いているよ。 祥太は絵梨沙さんとの結婚を考えているようですが……絵梨沙さんはどうなのかな?」と聞かれて、私は思わず「え……?」と祥太くんを見た。
け、結婚……? 祥太くんが、私との結婚を考えてくれているの……?
何も聞いてなかったから、ちょっとビックリしている。
祥太くんもそれを聞いてビックリしたみたいで、お父さんに向かって「おい、父さん!その話は……!」と慌てた様子だった。
「なんだ、お前はそのつもりだとこの間言っていたじゃないか」
「そ、それとこれとは話が違うだろっ!」
こんなに慌てている祥太くんを見たのは、初めてかもしれない。
祥太くんもこんな顔するんだな……。弁護士たるもの、常に冷静でいないと、なんていつも言っているのに。
「なんだ。今日はそのために来たんじゃないのか」
「いや、単純に紹介したいだけだよ」
「なんだ。てっきり結婚の許しをもらいに来たのかと思ったんだがな。 違うのか」
「もう、父さん……」



