【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。



「そうなんだよ、私はこう見えてロールケーキが好物でね。 特にこの丘島ロールが好物なんだよ」

「そうなんですか。 ちょっと、意外ですね」

 思わず本音を口にしてしまい、私はついはっ!となってしまった。

「す、すみません。 私、余計なことを言ってしまって……!」

 やっちゃった……!と思っていると、祥太くんのお父さんは「ははは! 確かにロールケーキが好きそうな感じには見えないかもしれないな」と笑っていた。

「す、すみません。失礼なことを……」

「気にしないでくれ。 よく言われているからな」

 祥太くんのお父さんが笑いながら紅茶のカップに口を付けているので、私も緊張しながら「い、いただきます……」と紅茶を口にした。

「ん、美味しい……!」

「美味しいか。それは良かった」

 私はつい「すごく美味しいです。 飲み心地がすごく良いですね」と話してしまった。

 祥太くんのお父さんは「そう言ってもらえて良かったよ。 私もこう見えて、紅茶が好きでね。よく飲んでいるんだよ」と話してくれた。

「お飲みになるセンスがいいんですね」

「ははは。そう言われたのは初めてだな」

「す、すみませんっ」

 私ってば、また余計なことを言ってしまった。 発言には気をつけなきゃ……。
 反省、反省。

「祥太、絵梨沙さんは本当に優しい人なんだな」

「ああ。 本当に優しい人だよ」

 祥太くんは「絵梨沙みたいな人は、きっと他にいないと思ってる」と言ってくれたのを聞いて、私は胸がときめいた。