祥太くんも少し緊張が解けたのか「同じか。 確かにそうだな」と少し微笑んでいた。
「待たせて済まない。 お茶にしよう」
そんな風にお互い話していると、祥太くんのお父さんがリビングへと戻ってきたのだった。
「俺やるよ、父さん」
「悪いな」
「気にするな」
祥太くんのことをよく見ていると、祥太くんは目と鼻がお父さんに似ているような気がした。
こうして見ると、やっぱり親子なんだと感じた。
「はい、絵梨沙」
「ありがとう」
紅茶を注がれたティーカップから、紅茶のいい香りが程よく漂ってきた。
「紅茶のいい香り……」
「今日の紅茶は、スリランカのセイロンティーだよ」
祥太くんのお父さんは「絵梨沙さんと言ったかな? 紅茶は好きかな?」と聞いてくれるので、「はい。紅茶は大好きです」と返した。
「そうか。なら良かった」
紅茶と言えばインドとかスリランカが有名だけど、私は特にセイロンティーとかが好きだ。
「後、ロールケーキを用意したから、良かったら食べていってくれ」
「ありがとうございます」
まさかロールケーキまで用意してくれているとは思わず、ちょっとだけクスッと笑ってしまった。
「ん? どうしたのかな?」
「あ、す、すみません! その、先ほど祥太さんから、お父様がロールケーキがお好きだとお聞きしたばかりでして……」
私が申し訳なさそうにそう話すと、祥太くんのお父さんは「ああ、なるほど。そういうことか」と笑っていた。



