【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。



 そう答えたけど、祥太くんのお父さんは「いいから、せっかく来たんだからゆっくりしていってくれ」とリビングを出て行く。  

「……なんか私、気に触るようなこと言っちゃったかな?」
 
 さすがに心配になって祥太くんにそう聞いてみたけど、祥太くんは「いや、父さんはいつもあんな感じだから、気にするな」と言ってくれた。

「なら、いいんだけど……」

「絵梨沙は何も心配しなくていい。 父さん、あれでも嬉しそうな顔してたし」

 それを聞いて「え、そうなの……?」と聞いてみたけど、祥太くんは「さっき手土産渡した時、ちょっと顔がほころんでたよ」と話してくれた。
 
「そ、そっか。 ならいいんだけど」

 あまりにも緊張しすぎて、何を話したらいいのかも正直わからない。

「絵梨沙が気遣いのある人だってわかって、きっと関心してるのさ」

「そ、そうなのかな?」

「大丈夫。何も心配いらないから」

 祥太くんが優しく手を握ってくれるから、私はそれにちょっと安心感を覚えた。

「祥太くんといると、やっぱり安心する」

「ん?」

「さっきまですごく緊張してたから、ちょっとだけ和らいだ気がする」

 祥太くんが隣りにいてくれるおかげで、なんだか一人じゃないんだと思える。

「実は言うと……俺も少し緊張してるんだ」

「え……?」

 祥太くんが緊張してる? 全然、そんな風に見えなかったから意外だった。

「こうやって父さんに彼女を紹介するのも、実は初めてだからさ。……ちょっと緊張してる」

「……そっか。同じだね」