そんな会話をしていると、知らない間に祥太くんの家に到着したようだった。
車をバック駐車で駐車場に停めた祥太くんは、車から降りる。
「絵梨沙、手貸して」
「ありがとう」
相変わらず優しくエスコートしてくれる祥太くんの手を取り、車から降りた。
「よし、行こうか」
「……うう、緊張する」
お腹が痛くなりそうな私に、祥太くんは「大丈夫だって」と声を掛けてくれる。
祥太くんが玄関のインターホンを押すと、祥太くんのお父さんの声で「開いてるぞ」と聞こえてきた。
「入って、絵梨沙」
「お、お邪魔……します」
段々と緊張が増してきて、心臓がドキドキしてくる。
「父さん、お待たせ」
「祥太、よく来たな」
リビングへ通されると、祥太くんのお父さんが祥太くんの前に歩いてきた。
「祥太、こちらの女性がお前が紹介したい人か?」
「ああ、そうだ」
私はお父さんに「あの、初めまして。……和倉絵梨沙と申します」と頭を軽く下げた。
「祥太の父です。 いつも祥太がお世話になってるみたいで、ありがとう」
「いえ、こちらこそ。……本日はお会い出来て光栄です」
私は先ほど購入した手土産を「あの……つまらないものですが、良かったら食べてください」と手渡した。
「いやいや、そんなにお気遣いなく。 でもありがたく受け取るよ、ありがとう」
祥太くんのお父さんは嬉しそうに微笑んでいた。
「せっかくだから、ゆっくりしていくといい。 今お茶を淹れてくるから」
「いえ、お構い無く」



