「運転ありがとう、祥太くん」
「いいえ。 じゃあ行こうか」
「うん」
祥太くんが私の右手をギュッと握ってくれるから、私もその手をギュッと握り返した。
「絵梨沙の見たい店見ていいから」
「ありがとう」
とりあえずアウトレットの館内マップを見ながら、一通り回ることにした。
「絵梨沙はどんな服が着たい?」
「そうだな……。祥太くんのお父さんに会うのに、相応しい服がいいけど、どんなのがいいんだろう」
それらしい服が見つかりそうなお店を探しながら、祥太くんに意見を聞いていく。
「そんなにかしこまった感じじゃなくていいと思うけどね」
祥太くんからそう言われたけど、私は「そういう訳にはいかないよ。 ちゃんとした格好で行かないと失礼に当たるでしょ?」と言い返してみる。
「絵梨沙は真面目だから、そういうとこきちんとしてるな」
「もう……感心してる場合じゃないでしょ? ちゃんと選んでよ、祥太くん」
私が悩みながら祥太くんを見ると、祥太くんは「そういうかわいい顔は、俺以外の前では禁止だ」と言っている。
「もう、真面目に選んでってば」
でもそういうお茶目な一面もある祥太くんが好きだから、憎めない。
「絵梨沙、これなんかどう?」
「どれ?」
祥太くんが見せてくれたのは、キレイめな白のワンピースだった。
「え、かわいい」
「絵梨沙に似合いそうだなと思ったんだけど、どう?」
私はそのワンピースを見て思わず「いいね、かわいい」と呟いた。



