【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。



「運転ありがとう、祥太くん」

「いいえ。 じゃあ行こうか」

「うん」

 祥太くんが私の右手をギュッと握ってくれるから、私もその手をギュッと握り返した。

「絵梨沙の見たい店見ていいから」

「ありがとう」
 
 とりあえずアウトレットの館内マップを見ながら、一通り回ることにした。

「絵梨沙はどんな服が着たい?」

「そうだな……。祥太くんのお父さんに会うのに、相応しい服がいいけど、どんなのがいいんだろう」

 それらしい服が見つかりそうなお店を探しながら、祥太くんに意見を聞いていく。

「そんなにかしこまった感じじゃなくていいと思うけどね」

 祥太くんからそう言われたけど、私は「そういう訳にはいかないよ。 ちゃんとした格好で行かないと失礼に当たるでしょ?」と言い返してみる。

「絵梨沙は真面目だから、そういうとこきちんとしてるな」

「もう……感心してる場合じゃないでしょ? ちゃんと選んでよ、祥太くん」
  
 私が悩みながら祥太くんを見ると、祥太くんは「そういうかわいい顔は、俺以外の前では禁止だ」と言っている。

「もう、真面目に選んでってば」

 でもそういうお茶目な一面もある祥太くんが好きだから、憎めない。

「絵梨沙、これなんかどう?」

「どれ?」

 祥太くんが見せてくれたのは、キレイめな白のワンピースだった。

「え、かわいい」

「絵梨沙に似合いそうだなと思ったんだけど、どう?」

 私はそのワンピースを見て思わず「いいね、かわいい」と呟いた。