アイスコーヒーが運ばれてきたタイミングで、智世は「私が羨ましい?」と問いかけてくるので、「うん。 私にもそういう前に進む勇気があったらなって思ってさ」と話した。
「本当に好きなら、私から祥太くんに会いに行ことだって出来たかもしれないのに、それをしなかったことに今更ながら後悔してるの」
私の話を聞いた智世は「なるほどねえ……。まあ、そんな勇気……昔の私でもなかったと思うよ」と言ってくれたけど、「本当に好きなら、何をしてでも好きな人に会いに行こうとするよね、きっと」とアイスカフェオレを口にする。
「でもさ、それって大人になって初めてわかることじゃない?」
「え……?」
私は智世に視線を向ける。
「あの時の私たちは、二十歳と言えどもまだ子供だったんだよ。 考えがもう少し大人だったら、もっと柔軟に考えることも出来たと思うしね」
私は智世からそう言われて気付かされた。
「……確かに。あの時の私にそんな考えがあったら、もっと祥太くんと想いを通じ合わせることが出来たかもしれないね」
「まあ七年経って、色々と得たものがあるってことじゃない?」
「そうだね。 この七年で、私たち大人になったんだね」
二杯目のアイスコーヒーを口にした智世は「そういうことにしておこうよ」と微笑んだ。
「うん、そういうことにしておこう」
もし当時の私がそんなことが出来てたら、何か今と変わっていたのかな。
どうなのかはわからないけど、祥太くんと再会したのが七年後の今で良かったと思う。



