智世が私を心配そうに見るので思わず「あ、ち、違うの! その……そうじゃなくて」と返事をする。
「え、なに?……まさか絵梨沙、三国くんとそういう関係!?」
「まあ、その……簡単に言うと、そうなるのかな」
なんだか妙に緊張して恥ずかしくなる。
「えっ!ウソ! おめでとう!」
「あ、ありがとう」
智世はちょっと驚いてはいたけど「そっか。なるほどねえ……。付き合ってるんだ、二人」とニヤニヤしている。
「うん、一応……」
智世はホッとしたのか「だって絵梨沙、三国くんと連絡取らなくなってから暗かったもんね。 ずっと元気ない感じだったもん」と言っていた。
「え? そうかな」
「そうだよ。 三国くんに告白してそれが最後にするなんて言ってたけど、ちっとも忘れられなかったんだね」
私は智世の言葉を聞いて、まさにそのとおりだと思ってしまった。
ずっと忘れられなかった祥太くんのことを思い出しては、想いに打ちひしがれてばかりだったし。
あの時の私は本当に情けなかったと思う。
「確かにそうだね」
「……で、どっちから告白したの?」
智世がそう聞いてくるので「三国くんから」とだけ答えた。
「そっか。……三国くんも、絵梨沙と同じだったんだね」
「え?」
「忘れられなかったんでしょ?絵梨沙のこと。 二人って本当にもだもだしてたんだね」
「も、もだもだ……?」
私たちって、自分たちから距離を取り合ってたのは間違いないけど、それはもだもだだったんだろうか。



