それから七年後ーーー。
「絵梨沙ちゃん、レジお願い出来る?」
「わかりました」
私は大学を卒業後、最寄り駅から三駅ほど離れた大型書店で働き始めた。 ここで働いてもう五年目になる。
私は書店で働くことが夢だったこともあり、大型書店で働くことにずっと決めていた。
「いらっしゃいませ、こちら二点ですね。 お預かり致します」
本のバーコードをスキャンし「当店のポイントカードはお持ちですか?」と問いかける。
「ないです」
「お作り致しますか?」
「大丈夫です」
「お会計二点で1890円になります」
お客様は2000円を出したので「2000円お預かりします。 110円のお返しになります」とお釣りとレシートをお渡しする。
「ありがとうございました!」
お会計を済ませてお客様を見送ると、再び新刊を並べる作業に入る。
「あ、この作品の新刊今日の発売なんだ。……後で買わなきゃ」
本屋でお仕事をしていると、新刊の予定なども情報として入ってくるので確認したくなる。
「わ、これなんて上下巻同時発売かあ」
これは今話題のコミックスなんだよね。これも買っちゃおうかな?
なんて思っていると、作業している後ろから「すみません」と声をかけられる。
「はい。どうされました?」
私は声をする方へ振り返る。
「……え?」
「え、絵梨沙……?」
「……三国、くん?」
私に声をかけてきたのは、三国くんだった。
「え、どうしてここに絵梨沙が?」
「三国くんこそ、どうして……?」



