「父さん、今度彼女と会ってほしい」
俺がそうお願いすると、父さんはタバコをポケットから取り出し火を付ける。
タバコの煙をゆっくりと吐いた父さんは「日にちが決まったら連絡しなさい。……時間を作る」とタバコを灰皿へ押し付けた。
「……わかった。また連絡する」
俺はソファから立ち上がると、「じゃあ、俺は帰るよ」と部屋を出た。
「認めてくれるのかよ」
こういう時は認めないものではないかと思っていたのに、あれは予想外だった。
「……まあ、いいけどさ」
父さんは母さんのことを本当に大切にしていたんだな。 母さんが喜んでいる姿を見ているのがきっと嬉しいんだろうな思う。
だから俺のことを見放したくせに、ああやって俺の言うことに聞く耳を持ったのは、きっと母さんが何か言ったのではないかと思っている。
俺はすぐに絵梨沙に連絡をした。
【絵梨沙、今日の夜会えないか? 話したいことがある】
【話? うん、わかった】
俺は絵梨沙とこうして再会したことで、これが運命なのだと思わざるを得なかった。
俺はずっと絵梨沙のことが好きだった。 だから絵梨沙のことを手放したくはない。
俺は絵梨沙と、この先もずっと一緒に生きていきたい。
【19時に家で待ってる】
【わかった】
父さんと和解したと言えばそうなのかもしれない。 でも父さんは俺のことを良くは思っていない。
だけど俺にとって父さんはたった一人の父さんだ。 だから父さんにも、絵梨沙のことは認めてほしいと思ってる。



