まさか父さんがそんなことを言うなんて思わなかった。 今でも反対しているのに、なぜそんなことを言ったのか、俺にはわからない。
「いいのか? 続けて」
そう聞くと「まあ、それが母さんの願いでもあるからな」と俺に言った。
「言われなくても、俺はずっと弁護士を続けるつもりだけどな」
「そうか。……まあお前ももう子供じゃないんだ、自分の人生は自分で決めたんだろう」
「ああ」
父さんとこんなに話したのはいつぶりだろうか。久しく話してないので、いつぶりかもわからない。
でも久しぶりに父さんと話した気がする。
「……父さん、俺父さんに一つ言いたいことがあるんだけど、いいか」
「なんだ」
「俺、今付き合っている人がいる」
俺がそう話すと、父さんは一言「そうか」とだけ呟いた。
「彼女を今度、父さんに紹介したいと思ってる」
父さんはそれを聞いては「なんだ。結婚でもするつもりか」と問いかけてくる。
「まあ、俺は少なくともそうしたいと思ってるけど」
「そうか。……まあお前が選んだことだ。私は口を出すつもりはないがな」
父さんはそう言っていたけど、多分少し嬉しいのかもしれない。
顔が少しだけほころんでいるように見えたからだ。
「俺が結婚したいって言ったら、認めてくれるのか?」
「……認めるも何も、お前はそのつもりで私に紹介したいと言ったんだろう」
「まあ、そうなんだけどさ」
父さんは俺が結婚したいって言っても、別に反対するつもりはなかったってことか……?



