「そうだったのか。……でもまあ、お前の人生だし?俺は弁護士でも医者でもなんでもいいと思う。やりたいことをやればいいんと思うけどね」
尚輝兄さんの言葉に、俺は「……ああ」と短く答えた。
「……そろそろ始まるな。行こうか」
「ああ」
その後母さんの葬儀が執り行われた。棺桶の中の母さんの表情はとても安やらな表情をしていて、幸せそうだった。
喪主である父さんは、最後までしっかり喪主としての務めを果たしていた。
「母さん……元気でな」
最後に母さんの顔を見ながら、電話越しに母さんと会話した最後の日を思い出していた。
【祥太、落ち着いたらこっち帰って来なさいね。祥太の大好きなコロッケ、作って待ってるから】
【ああ、わかった。 帰る時は連絡するよ】
【ええ、必ずよ。待ってるからね】
【わかってる。……じゃあな、母さん】
【ええ。またね、祥太】
それが母さんとの生前の最後の会話だった。
その時はいつでも会えると、そう思っていた。 母さんに会ったら、俺は絵梨沙を母さんに紹介するつもりだった。
日本に帰ることを母さんに最初に伝えた時、俺は母さんに【そっちに帰ったら、母さんに話があるんだ】と伝えていた。
母さんに伝えたいそれは、絵梨沙のことだった。 母さんは【あら、話って何かしら? うふふっ】と嬉しそうに電話越しに微笑んでいた。
母さんはきっと、俺に好きな人がいるということをわかっていたのだろう。
きっと母さんも、絵梨沙に会いたかっただろうな。……会わせたかった。



