【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。



「そうだったのか。……でもまあ、お前の人生だし?俺は弁護士でも医者でもなんでもいいと思う。やりたいことをやればいいんと思うけどね」

 尚輝兄さんの言葉に、俺は「……ああ」と短く答えた。

「……そろそろ始まるな。行こうか」

「ああ」

 その後母さんの葬儀が執り行われた。棺桶の中の母さんの表情はとても安やらな表情をしていて、幸せそうだった。
 喪主である父さんは、最後までしっかり喪主としての務めを果たしていた。 

「母さん……元気でな」

 最後に母さんの顔を見ながら、電話越しに母さんと会話した最後の日を思い出していた。

【祥太、落ち着いたらこっち帰って来なさいね。祥太の大好きなコロッケ、作って待ってるから】

【ああ、わかった。 帰る時は連絡するよ】

【ええ、必ずよ。待ってるからね】

【わかってる。……じゃあな、母さん】

【ええ。またね、祥太】

 それが母さんとの生前の最後の会話だった。

 その時はいつでも会えると、そう思っていた。 母さんに会ったら、俺は絵梨沙を母さんに紹介するつもりだった。
 日本に帰ることを母さんに最初に伝えた時、俺は母さんに【そっちに帰ったら、母さんに話があるんだ】と伝えていた。

 母さんに伝えたいそれは、絵梨沙のことだった。 母さんは【あら、話って何かしら? うふふっ】と嬉しそうに電話越しに微笑んでいた。
 母さんはきっと、俺に好きな人がいるということをわかっていたのだろう。
 きっと母さんも、絵梨沙に会いたかっただろうな。……会わせたかった。