【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。



 父さんはそれ以上何も言わなかった。 やはり、本当は俺には会いたくないんだなと悟った。
 そして父さんは別の部屋へと歩いてしまった。

「あれ、もしかして……祥太か?」

 そんな時俺に声を掛けてきたのは、俺より二つ年上で近所に住んでいた尚輝兄さんだった。
 二つ年上だが仲良くしてくれていたおかげか、俺も本当の兄みたいな存在思っていたので、尚輝兄さんと呼んでいた。

「尚輝兄さん……なのか?」

「ああ。 しばらく見ないうちにイケメンになったな!」

 尚輝兄さんは俺のことを覚えていてくれていて、明るく話しかけてくれた。

「尚輝兄さんは、変わらないな」

「おう。俺はずっと変わってないよ」

 俺はそれを聞いて思わず「なんか、それを聞いて安心した」と笑った。

「そうそう、聞いたぞ。 祥太今弁護士やってるんだって?」

「ああ。今は志木川法律事務所ってところで働いてる」

「志木川法律事務所? おい、そこって敏腕弁護士揃いの法律事務所ってウワサだよな?」

 尚輝兄さんは驚いたようにそう話した。

「お前すごいな。弁護士か……エリートだな」

「そんなことないよ」

 尚輝兄さんは俺に「なあ、祥太。 お前なんで弁護士になったんだ?」と俺に問いかけてくる。

「……なんでって?」

「いや、お前のことだから、てっきり医者になるのかと思ってたんだけど」

 尚輝兄さんにそう言われた俺は「医者になるつもりなんて、元々なかったよ」と尚輝兄さんに話した。

「父さんにも医者にはならないってはっきり言ったしな」