でも今は、その神様のいたずらに感謝している。 だって祥太くんとこうして気持ちを確かめ合うことが出来たし、お互いにずっと想い合っていたことを知って素直に嬉しかった。
私は祥太くんのことを、忘れなくて良かった。
「祥太くん、大好きだよ」
祥太くんが大人になってさらにカッコよくなって私の前に現れた時は、本当に夢だと思った。
これが夢なのか現実なのか、わからなくなるくらい頭が真っ白になった。 これが夢なら、どうか覚めないでほしいと願ってた。
「絵梨沙、ここ寝癖付いてる」
「えっ!? ウソッ!」
「ウソ、冗談。寝癖なんて付いてないよ」
「もう! ひどいっ」
でも祥太くんとこうやって隣で冗談を言い合えるような関係になれたのが嬉しくて、本当に幸せだと感じている。
「だって絵梨沙が、かわいいからさ」
「ねえ、祥太くんてそんなに冗談言う人になったの?」
私がそう聞くと、祥太くんは「そうだな……。絵梨沙と一緒にいる時だけは冗談言うかな」と笑っていた。
「えっ、そうなの?」
「俺こう見えて、真面目だからね」
「まあ、それは昔からだから知ってるけど……」
祥太くんが真面目なのは昔からだった。 昔の祥太くんは真面目で人付き合いが苦手で、クールな印象があった。
もちろん真面目でクールなところはあの時から変わってないけど、一つ変わったところを言えば、昔より感情を出せるようになっている気がした。
昔はこんなに笑う人じゃなかったし、ミステリアスな雰囲気を纏っていた。



