「送ってくれてありがとう、祥太くん」
「ああ、気を付けてな」
「うん」
私は祥太くんに手を降ると、スマホをかざして駅構内へと入り電車のホームへと向かった。
✱ ✱ ✱
七年前、私は祥太くんに恋をしたあの瞬間から、どうしょうもないくらいに恋い焦がれていた。
七年間、ずっと忘れられなかった人。 祥太くんがいなくなったあの日から、私はずっと祥太くんが何をしているのか気になっていた。
祥太くんが海外へ行ってから、もう二度と日本へ戻ることはないのだろうと思っていた。
結局祥太くんがその半年後に大学を中退したことを聞いた時、私は確信した。
祥太くんとはもう二度と、会うことはないだろうと。 二度と会うこともなければ、この気持ちを再び伝えることも出来ないと悟った。
だから私は、この気持ちを封印することが祥太くんのためになると思った。……ううん、本当はそれが私のために一番なると思ったんだ。
この気持ちを押し殺して生きいくことが、私にとって一番幸せになるためにはいいのだと、そう自分に言い聞かせていた。
そうじゃないと私は、いつまでも祥太くんに囚われて抜け出せなくなると思ったから。
だからまさか、祥太くんが日本へ戻ってくるとは思ってなかった。
まさかまた会えるなんて……これは本当に奇跡だと思った。
それと同時に、これは神様のいたずらなんだとさえ感じた。 こんな風にまた再会することになるなんて……。
私は結局、神様のいたずらには抗えないってことなんだと思った。



