豚の生姜焼きを食べた祥太くんは「うん、うまい!」と喜んでくれた。
「生姜焼きって、こんなにうまいんだな」
「喜んでもらえて良かった」
生姜焼きを食べながら祥太くんは「絵梨沙は、料理が上手だな。やってるだけある」と褒めてくれた。
そう言ってもらえると、私も嬉しい。 作って良かったと、そう思える。
「ありがとう」
「この味噌汁もうまい。 なんかホッとする」
「わかる。味噌汁ってホッとするよね」
「味噌汁は日本伝統の料理だしな。 やっぱり日本って感じするよ」
そっか、祥太くんは海外生活が長かったんだもんね。 日本料理は恋しくもなるよね。
「ああ、うまい。疲れた体に染み渡る」
「大袈裟じゃない?」
「大袈裟じゃない。本当のことだ」
でも祥太くんが美味しそうに食べてくれるから、私も一緒に食べてて幸せな気持ちになる。
「やっぱり生姜焼きはご飯が進むな」
「ね、そうだよね」
「俺、こんなにうまい料理食ったの、いつぶりかわからないな」
祥太くんがそう言うから、私も「それは言い過ぎだよ。 褒めすぎ」と返してみた。
「本当のことだよ。本当にうまくて、日本人で良かったと思えるよ」
「まあ確かに、それ考えたら私も日本人で良かったと思うかも」
「そうだろ?」
「うん」
二人で和やかな雰囲気でご飯を食べているだけなのに、幸せだった。
「おいしかったね」
「ああ、うまかった。また作ってほしい」
私は祥太くんに「もちろん、こんなので良ければお安い御用だよ」と微笑んだ。



