【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。



 豚の生姜焼きを食べた祥太くんは「うん、うまい!」と喜んでくれた。

「生姜焼きって、こんなにうまいんだな」

「喜んでもらえて良かった」

 生姜焼きを食べながら祥太くんは「絵梨沙は、料理が上手だな。やってるだけある」と褒めてくれた。
 そう言ってもらえると、私も嬉しい。 作って良かったと、そう思える。

「ありがとう」

「この味噌汁もうまい。 なんかホッとする」

「わかる。味噌汁ってホッとするよね」

「味噌汁は日本伝統の料理だしな。 やっぱり日本って感じするよ」

 そっか、祥太くんは海外生活が長かったんだもんね。 日本料理は恋しくもなるよね。

「ああ、うまい。疲れた体に染み渡る」

「大袈裟じゃない?」
 
「大袈裟じゃない。本当のことだ」

 でも祥太くんが美味しそうに食べてくれるから、私も一緒に食べてて幸せな気持ちになる。

「やっぱり生姜焼きはご飯が進むな」

「ね、そうだよね」

「俺、こんなにうまい料理食ったの、いつぶりかわからないな」

 祥太くんがそう言うから、私も「それは言い過ぎだよ。 褒めすぎ」と返してみた。

「本当のことだよ。本当にうまくて、日本人で良かったと思えるよ」

「まあ確かに、それ考えたら私も日本人で良かったと思うかも」

「そうだろ?」

「うん」

 二人で和やかな雰囲気でご飯を食べているだけなのに、幸せだった。

「おいしかったね」

「ああ、うまかった。また作ってほしい」

 私は祥太くんに「もちろん、こんなので良ければお安い御用だよ」と微笑んだ。