祥太くんが電話をしている間、私は夕食の準備に取り掛かっていく。
数分後、電話を終えた祥太くんが戻ってきた。
「ごめん。ちょっと急ぎの仕事が入った」
「そっか。 じゃあ、夕飯出来るまでゆっくりしてていいからね」
「でも、いいのか?」
私は野菜を切りながら「うん、いいよ。出来たら呼ぶよ」と伝えた。
「悪い。……じゃあ、ちょっと仕事してきてもいいか?」
「うん」
祥太くんは急ぎの案件だそうで、部屋に戻って仕事をしてくるだそうだ。
私は夕食作りを進めていき、ようやく夕食が完成した。
「祥太くん、夕食出来たけど……食べる?」
部屋へ祥太くんを呼びに行くと、祥太くんがすぐに出てきた。
「お、いい香りがするな」
「うん。食べよう」
「ああ」
私が作った夕食は大したものではないけど、祥太くんは「うま、美味そう」と喜んでくれた。
「お、ほうれん草の胡麻和えがある」
「うん。好きだって言ってたから作ってみたの」
祥太くんは「いただきます」と手を合わせるとお箸を右手に持ちほうれん草の胡麻和えに手を伸ばす。
「うまっ……うまい」
「本当に? 良かった」
「これは?」
「それは生姜焼きだよ。 豚肉があったから生姜焼きにしてみたの」
男の人は生姜焼きが好きなイメージがなんとなくあったから、生姜焼きにしてみたけど、良かったのだろうか。
「生姜焼きか。そういえば、生姜焼きなんて久しぶりな気がする」
「本当? 美味しいといいんだけど」
「いただきます」



