【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。



「……良かったね、祥太くん」

 祥太くんも緊張が解れたのか「ああ、緊張した……」とホッとしていた。

「三国さん、うちの娘は本当に素直でいい子なの。 三国さんにはもったいないかもしれないけど、絵梨紗のことくれぐれもよろしくお願いしますね」

 お母さんは祥太くんの手を握りしめる。

「はい。 ありがとうございます」

「さ、たくさんあるから食べて」

「はい。 いただきます」

 祥太くんは我が家の料理を「美味しい」と食べてくれたことが嬉しくて、私まで笑顔になった。

「三国さん、コロッケお好きなのよね?」

「はい。好きです」

「たくさん作ったから、良かったら持って帰ってね」

 祥太くんは「ありがとうございます。嬉しいです」とお母さんに微笑む。
 
「絵梨紗の料理上手は、お母さんから譲り受けたんですね」

「そうかしら? でもこの子、小さい頃から料理してたから、私より料理は上手いかもしれないわね」

「僕、絵梨紗さんの作る料理好きなんです。 得に豚の生姜焼きとか、お味噌汁とかが好きなんです」

「もう、祥太くん! そんなに褒められると照れくさいよ」

 でも祥太くんは「だって事実だろ?」と私を見る。

「……ありがとう」

「絵梨紗、三国さんのためにもっと料理頑張らないとだね」

「うん、もっと頑張る」

 祥太くんに毎日美味しいものを食べてほしいから、頑張らないと。

「絵梨紗、幸せになってね」

「お母さん、お父さん……ありがとう」

 両親は少しだけ泣きそうになっていた。