「おはようございます」
「おはようございます」
そして私はその日、出勤してから金町さんに「絵梨紗ちゃん、なんかいいことあったの?」と聞かれたので、「はい。いいことありました」と答えた。
「なになに?なにがあったの? ちょっと、おばちゃんにも聞かせて〜」
金町さんは私の変化にすぐに気付くので、観念するしかなかった。
「実は……昨日、プロポーズされたんです」
「えっ! 本当に!?」
「はい」
プロポーズされたと自分で言っただけで恥ずかしくなるけど、やっぱり嬉しいが勝ってしまう。
「ええっ! おめでとう、絵梨紗ちゃん!」
「ありがとうございます」
金町さんも嬉しそうに「そっかあ。絵梨紗ちゃんもついに結婚かあ」と微笑んでいる。
「はい。 まだ実感ないですけど」
「あ、じゃあその左手の指輪は……?」
金町さんは私の左手の薬指の指輪に視線を向ける。
「はい……昨日くれました」
少しだけ指輪を見せてみる。
「あら〜、素敵な指輪じゃない! 似合ってるわよ」
「ありがとうございます」
祥太くんからもらったこの指輪は、一生の宝物だ。 絶対に外さない。
「絵梨紗ちゃんもついに結婚かあ……。なんかしみじみしちゃうわね」
「え、そうですか?」
「そうよ! 私は絵梨紗ちゃんの第二のお母さんだと思っているんだから」
金町さんが自分のことのように喜んでくれるから、私も嬉しくなってしまう。
「金町さん、ありがとうございます」
「幸せになってね、絵梨紗ちゃん」
「はい」



