「着いた。ここ」
「あ、うん」
二人で中に入りアイスコーヒーとアイスカフェラテを注文し、空いてる席に向かい合うように座った。
「絵梨沙ってさ、彼氏とかいるの?」
「……え?」
「いや……彼氏とか、いるのかなって思って」
私はアイスカフェラテに一口口を付けると「彼氏も旦那もいないよ」と答えた。
「そっか。俺と一緒だな」
「え……?」
アイスコーヒーに口に付ける三国くんに視線を向ける。
「俺も、彼女も嫁もいない」
「そうなんだ。 三国くんなら普通にいそうなのにね。……イケメンだし、モテるでしょ?」
私がそう聞くと、三国くんは「まあ、モテることは否定しないけど」と冗談っぽく言ってきた。
「そうだと思った。 前からモテてたもんね」
アイスカフェラテのストローを回しながら、私は彼女、いないんだ……と心の中で思っていた。
「ぶっちゃけ俺がモテたいのって、一人だけなんだけどね」
「え、一人……?」
一人って……誰のこと? そっか、誰か想い人がいるんだ。
まあ、そうだよね……。七年経てば、普通はいるよね。
気になって「一人って、誰?」と聞くと、「わからない?」と逆に聞き返された。
「わ、わからない……よ」
「わからないならヒントをあげようかな」
「ヒント……?」
え、ヒントくれるの?
「俺がモテたいのは……今俺の目の前にいる人だけだよ」
「……えっ?」
今三国くんの目の前にいるのって……私、だよね? いや、まさかね……。



