【番外編更新中】騙し愛され落とし合い ~借金帳消しのために、××の家でお嫁さん候補としての生活を始めます~



「千夏子さん。ツンデレ気取りの面倒くさい男は放っておいて、今度は俺とデートしましょうね」

「おい玲! 誰が面倒くさい男だ!」


今度は玲くんと一哉くんが言い合いを始めてしまった。

でも、何だかんだ言っても、皆仲がいいんだろうな。

だって悪態を吐き合いながらも、その表情はどことなく楽しそうに見える。


「あれ? 皆勢ぞろいしてるじゃん」


賑やかな空気が広がる中、障子戸を開けて大広間に入ってきたのは慎くんだった。

帰ってすぐに自分の部屋に引きこもってしまったから、今日はもう会えないと思っていたのに。


「慎くん、どうしたの?」

「どうしたのって……だって、千夏子が言ったんじゃん」

「私が?」

「うん。俺も一緒に食卓を囲めたら、楽しいだろうなって。千夏子のご飯、食べさせてくれるんじゃないの?」


――慎くん、喫茶店でのあの言葉、ちゃんと覚えていてくれたんだ。