【番外編更新中】騙し愛され落とし合い ~借金帳消しのために、××の家でお嫁さん候補としての生活を始めます~



「だから言っただろ。止めとけって」

「“そうそう、デートに行くなら尊なんて止めて俺とにしとけって”」

「“そうそう、俺だってお前とデートに行きたかったんだからな”」

「……って、誰もそんなこと言ってねぇだろうが! 勝手に副音声つけんの止めろ!」


事の詳細を聞いた一哉くんが呆れ顔でそう言えば、由紀さんと尊さんが声のトーンを高くして言葉を続けた。

一哉くんはキレのいい突っ込みを入れながらぷんすかしている。


「でも、せっかくだし、一哉くんともいつかお出かけしたいなぁ」

「……まぁ、お前がそこまで言うなら、出かけてやってもいいけど」


一哉くんとも、もっと仲良くなれたら嬉しいし。

そう思って提案してみれば、一哉くんはプイッと視線を逸らしながらもうなずいてくれた。

赤髪からのぞく耳がほんのり色づいている。照れているのかもしれない。