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「――で、何でコイツはやさぐれてんだよ」
大広間にて。
机に突っ伏してむくれている私を見て、どこか憐れんでいるような目をした一哉くんが尋ねてくる。
それに答えたのは、私とは反対に、すこぶる機嫌が良さそうな由紀さんだ。
「千夏子ちゃんは三股の女の称号を手に入れたから、それで感極まってんだよ」
「いや、どう見ても感極まってる奴の顔じゃねーだろ。つーか、三股の女……?」
「由紀さんたちと一緒にいたら、いつか背後からグサーッとやられそうで、怖いです」
最後に見たあの女性の、鬼のような形相が忘れられない。
由紀さんたちが一緒にいなかったら、確実に頬を引っ叩かれていたと思う。
嫉妬する女の子は可愛いけど、それと同じくらい怖くもなるのだ。



