「で、三人でコソコソと、なーにやってたわけ?」
私たち三人を順に見た由紀さんは、面白いものでも見つけた時のような顔をしてニヤリと笑う。
「別に、コソコソなんてしてないですよ。今日は尊さんと出掛ける約束をしていて、そしたら慎くんも買う物があるって言うので、一緒に買い物にきただけです」
「えー、俺のお誘いは全然のってくれないのに、尊からのデートの誘いは受けるんだ。悲しいなぁ~」
由紀さんがしくしくと泣きまねを始める。
だけど面倒くさいので完全スルーしていたら、慎くんが私の肩にポンッと手を置いてくる。
「ちょっと、由紀泣いちゃったじゃん。ほら、ちゃんと謝らないと」
「え?」
「そうだよ千夏子ちゃん。俺も一緒に謝ってあげるから、ごめんねしよっか?」
「え? 待ってください、これって私が悪い感じなんですか?」
――ねぇ何この三人のノリ。すっごく疲れるんだけど……!
その後も三人の悪ノリに付き合わされてしまうことになり、私の生まれてはじめてのデート(?)は、心身ともにへとへとな状態で幕を閉じることになった。



