「っていうかあの子、何かすっごい勘違いしてなかった?」
ようやく勘違いが生まれていたことに気づいてくれた慎くんが、ポツリとつぶやく。
「本当だよ! もっと早く気づいてその場で訂正してほしかったのに……!」
「だって一哉と玲もいれたら、千夏子は三股じゃなくて五股してるってことになるでしょ? 数が間違ってるじゃん」
「あ、やっぱり気づかないでくれてよかった」
あぶない。慎くんの発言で、由紀さんの彼女さんからの評価がもっと下がるところだった。
いや、三股していると勘違いされている時点で、大して変わりない気もするんだけど……。
「というか由紀さん、良かったんですか? 彼女さん、怒って行っちゃいましたけど」
「え? 久美ちゃんは彼女じゃねーけど」
「え、そうなんですか?」
「久美ちゃんは、さっき出会ったばっかの、ただのオトモダチ~」
「さっき出会ったばっかのお友達……?」
それにしては、腕を組んだりして親密そうな雰囲気だったけど……もう考えるのも面倒になってきたので、それ以上突っ込まないことにした。



