【番外編更新中】騙し愛され落とし合い ~借金帳消しのために、××の家でお嫁さん候補としての生活を始めます~



「いえ、あの、違うんです!」

「何が違うのよ! 平然と三股かけてるような女に、由紀は渡せないわ! 由紀、早く行きましょう!」


彼女さんは、由紀さんの腕を掴んでこの場を離れようとする。

だけど由紀さんはこの場に立ち止まったままで、動く気配がない。


「んー、悪いけど、気分じゃなくなったわ。俺はこのまま千夏子ちゃんと遊ぶから」

「っ、何よそれ……」


由紀さんの彼女さんの目に、じわりと涙がにじむ。

かと思ったら、また鋭いまなざしで睨まれてしまう。


「由紀のことは、絶対に渡さないから! 覚悟しておきなさい、この性悪三股女‼」


捨て台詞のようなものを大声で吐き出した彼女さんは、この場を立ち去ってしまった。


「ママー、さんまた女って何?」

「しっ! 見ちゃいけません」


――近くにいたお客さんからの、腫れ物に触れるかのような視線が痛い。