「ねー、遅いんだけど。もしかしてお腹痛かったの?」
「こら、慎。千香子ちゃんも一応女の子なんだから、その言い方は失礼だろう。お手洗いから中々戻ってこなかった時点で、察してあげないと」
混沌とした空気をぶち壊すように話しかけてきたのは、慎くんと尊さんだ。
いつの間にか慎くんと合流していたらしい。
そして、どうやら私は、トイレで大きい方をもよおしていたと思われているらしい。
……って、失礼すぎない!?
「別にお腹が痛かったわけじゃないですから! というか、この状況見てもらえたら分かりますよね!?」
「……あれ、由紀がいる。何でここにいるの?」
慎くんは、ようやく由紀さんがいることに気づいたみたいだ。
そのわりには、そこまで驚いているような感じもしないけど。
慎くんはあまり表情が変わらないから、何を考えているのか分かりにくいんだよね。



